LSBチャーター

ミッション

Linux Standard Base (LSB)は、Linuxディストリビューション間の互換性を向上させ、LSBの定める標準に適合したソフトウェア製品が任意の準拠システムで動作するこ とを可能にするような、一定の標準を作り上げることを目差したプロジェクトです。すなわち、Linuxプラットフォーム用のソフトウェア製品を製品化する ベンダーは、いくつものディストリビューションを意識することなく、ただ一つのターゲットに向けて製品を作れば良くなるわけです。このような標準は、本プ ロジェクトに参加するメンバーの合意に基づいて形成されていきます。さらに、LSBは、標準準拠製品を開発するベンダーを支援する活動も行います。

プロジェクトの構造

LSBは、LFの主要な標準化活動であり、Linuxプラットフォームのより専門化された領域(例、アクセシビリティ、国際化、印刷、コンパイラとその関連ツールなど)で標準化を推進するいろいろなワークグループの「傘」として位置づけられます。(注1)

LSBとその下位ワークグループは、単一のロードマップを共有しています。各ワークグループは、その成果として、一定の標準仕様と、その仕様の適用を推進するために必要な、適合テスト、開発ツール、あるいは(必要な場合は)レファレンス実装など、いろいろなソフトウェアを提供します。

それぞれの仕様および関連するソフトウェアは、LSBモジュールとして知られています。LSBモジュールは、相互に統合できるように設計された共通形式を 備え、それぞれ、必須モジュールまたはオプションモジュールとされます。必須モジュールは、一定の受入基準を満たすモジュールです。オプションモジュール は、受入基準をまだ満たしてなく、開発中または構築中のフィーチャーで、LSB標準の将来のバージョンに含まれる予定のものです。

(注1) 標準を作成しないLFワークグループもあります。このようなワークグループは、上流のLinuxカーネル、他のパッケージまたは文書、もしくはその両方に 向けてソフトウェアコードを作成します。本チャーターは、標準を作成するワークグループ、すなわちLSBワークグループに対してのみ適用されます。

範囲

すべてのLSBワークグループは、最終的には、すべての主要なLinuxディストリビューションで幅広く採用され、利用可能になるような標準を作成するこ とが期待されています。幅広い採用に沿わない活動は、明確にLSBワークグループの範囲外です。また、すべてのLSBワークグループの範囲は、議長の承認 するものを除き、現に実践されいるものでなければなりません。特定の技術をLSBに含めるための唯一の基準は、ベスト・プラクティス(最良の実践)と呼ぶ もの、すなわち、すべての主要なLinuxディストリビューションで出荷され、安定したABI(Application Binary Interface)を持ち、さらに、その技術の必要性が高いことです。

成果

LSBは、LSBロードマップに沿って版数を上げて行きます。各リリースのとき、LSBは、すべての必要なモジュールをLSB仕様と呼ばれる単一の文書にまとめます。

LSB仕様には、製品がそのバージョンに準拠していことをベンダーがテストすることを可能にするテストキットが 付属します。製品の標準準拠の正式な表示を求めるベンダーに対して、LFはテストの結果に基づき認定を与えます。テストキットは、各認定につき1つです (例、LSB Distribution Testkitは、Linuxディストリビューションの認定用、LSB Application Testkit はアプリケーション認定用など)。

また、LSBワークグループは、LSB仕様に対するアドオンとして、オプションモジュールを公開することがあります。オプションモジュールは、LSBに対 する近い将来の追加について、幅広い公開レビューを容易にするために提供されます。また、オプションモジュールにより、ベンダーの将来のバージョンへの収 束を加速することができます。すなわち、どのモジュールがベスト・プラクティスとして登場し、将来のバージョンに含まれるようになるのか、「自分たちの仲 間とともに投票」できるわけです。

リーダーシップと統治

注:この項では、このチャーターがLSBとそのワークグループでより容易に共有されるように分かりやすい用語を使用します。

ワークグループは、選出された議長によってリードされ、ワークグループの幅広い利益を代表する運営委員会によって統治されます。

ワークグループは、IETFのような「大まかなコンセンサス」モデルで運営されます。「大まかなコンセンサス」は議長によって判断されます。議長による決 定が、貢献者に大まかな合意を反映していないと感じられるようなケースでは、最初に運営委員会に、そして必要に応じて、LSB運営委員会に上告することが できます(LSB運営委員会が実施するワークグループの場合、決定はLF理事会に上告することができます)。

ワークグループの運営は、オープンフォーラム(通常はwiki、メーリング・リスト、電話会議、定期的な対面会議)で実施されます。会員資格に制限はあり ません。決定は、そのオープンフォーラムにおいて、未解決の問題も含めて明確に文書化されなければなりません。これは、将来の議論の基礎として使用されま す。

貢献者は、ワークグループに積極的に関わっている任意の個人です。「積極的に関わっている」と言っても主観的な判断になりかねないので、議長は貢献者と考 えられる個人のリストを作成します。個人は、貢献者リストへの掲載を議長に要請することができ、異議がある場合、上記のように上告できます。

議長は、プロジェクト全体のリーダーであり、貢献者によって選出され、LSB運営委員会とLF理事会による承認の対象となります。議長の任期は2年間で す。任期の回数に制限はありません。議長は、運営委員会、LSB運営委員会、またはLF理事会のいずれかによる不信任決議により解任できます。その場合、 議長の席は空になり、90日以内に選挙が実施されます。空の間は、運営委員会が議長代理を任命します。 運営委員会は、主要なワークグループ利害関係者の代表から構成されます。LSBの場合、これらの利害関係者には、ディストリビューター、 ISV、OEM、上流コミュニティの開発者、LSBチャーターの下で運営されるLSBとワークグループの議長が含まれます。運営委員会の委員は、議長に よって任命され、ワークグループに積極的に参加し続け、かつワークグループの利益を最優先に業務を実施している限り、任期は無制限です。運営委員会の委員 は、運営委員会、LSB 運営委員会、またはLF理事会のいずれかによる不信任決議により解任できます。

議長選挙は、貢献者による臨時の選挙委員会によって管理されます。選挙委員は、議長の任期が切れるか、議長の席が空になったとき、運営委員会によって、こ れだけの目的のために任命されます。選挙委員会は、議長の任期が切れる少なくとも30日前、または議長の席が空になってから10日以内に、1人または複数 の議長候補を選出する責任を負っています。選挙委員会の委員は、議長の候補になることはできません。選挙委員会は、資格のある投票者のみが投票でき、投票 者1人につき1票のみが集計され、投票の秘密が保たれるような適切な手段を使用して、電子投票による選挙を実施します。投票期間は1週間です。選挙委員会 は投票を集計し、その結果を運営委員会に提出します。運営委員会は結果を批准し、選挙結果を宣言します。

ワークグループ

LSB議長は、LSBチャーターの使命を実行するために、必要に応じてワークフループの結成と解散を行うことができます。新しいワークグループは、結成中 の段階では「インキュベータ」と考えられ、LSB運営委員会が標準化の正しい路線上にあると判断した段階で本格的なワークグループの地位に格上げされま す。この段階に到達するために、ワークグループは、本チャーターを採用し、十分な統治構造を持ち、幅広く採用される標準を開発するのに必要な主要な構成員 からなり、かつそのような幅広く採用される標準の開発に向けて積極的な進歩を続けていなければなりません。

ワークグループは、適切な程度の独立性を持って運営され、自身の詳細については自身で決定できます。各ワークグループには議長を置かなければなりません。 議長のおもな役割は、LSBプロジェクト全体の目標との整合性が保たれ、成果がプロジェクト全体のロードマップに沿ったものになるようにLSB議長と調整 を図ることです。それぞれのワークグループは、常に活動状態にあり、ロードマップに沿って成果を出さなければなりません。また、それぞれのワークグループ は、各ワークグループの統治構造に沿ってLSBチャータ-を批准しなければなりません。ワークグループ議長は、LSBが「インキュベータ」段階を脱した時 点でLSB運営委員会の委員となります。 ワークグループが、自身の統治構造を持つことを望まない場合、LSBチャーターに記述された統治構造をそのまま使用することが推奨されます。

ワークグルー プは、自身の運営委員会を持つことも持たないことも可能です。運営委員会を持たない場合、本チャーターに記述された機能(例、選挙管理、紛争解決など)を 実行するためにLSB 運営委員会を利用することができます。新しいワークグループを立ち上げるには、そのワークグループの発起人が大まかな合意により議長を選出するか、大まか な合意に達しない場合、LSB議長がそのワークグループの議長を任命します。

LFはLinux関連の組織ですが、LSBワークグループは、Linuxに限らず、より広い適用範囲を持つ標準に関する作業を行うことができます。これ は、たとえLSBの文脈の中でも、推奨されるものとみなされます。これは、クロスプラットフォームのLSBモジュールが増加するにつれ、ISVが Linuxプラットフォームを対象として行う必要のあるLinux固有の作業が少なくなり、Linux移植の費用効果が高くなり、さらに、Linux移植 が行われる機会が増えているからです。

アクティビティ

2007年2月7日:LSB運営委員会承認