クラウド コンピューティングにおけるオープン ソースと運用の問題

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 IBM は今週明け、企業や官公庁向けの開発・テストサービスを提供するクラウド コンピューティング プログラムを発表しました。しかしよく調べてみると、まだ Big Blue (=IBM) で包括的なクラウドを提供すると確定したわけではないようです。これを見ると、運用効率がサービス経済の強力な武器だということがわかります。ちょっと説明しましょう。

IT 業界が製品ベース経済からサービスベース経済に移行すると、運用能力は強力な武器になります。これと、企業が閉じた API やベンダー ロックインや膨大なリソース上の信頼関係に依存して、ビジネスを構築し、競争力を保っていた過去とを比較してみましょう。今は莫大な資本がなくても、アイデアさえあれば誰でもクラウドプロバイダーに接続でき、一晩でソフトウェアビジネスを始められます。ソフトウェアが入った CD を人々に買ってもらわなくてもサービスを提供できます。サービスが命のこのような環境では、運用効率が極めて重要です。成功するのは、最高の実行力と運用能力を持つ企業です。つまり公平になったのです。しかし皮肉なことに、このクラウド プロバイダー自体が 21 世紀の競争力となる優れた運用能力の最良の例なのです。
こうした規模の経済性に影響を与え、クラウド サービスを行う企業が数社あります。Google や Amazon、そして今回の IBM です。
これらのクラウド サービスはすべて Linux を使用しています (Microsoft もいつか Windows ベースのサービスでこの競争に参入するでしょう)。これらの巨大企業は優れた運用能力によってビジネスを構築してきましたが、今度は、CPU ごとのコンピューティング コストを縮小することにより、他社より優位に立つことができます。InformationWeek の記事に、次のような IBM の言葉が掲載されています。「お客様はクラウドを使用することにより、IT 労力を 50% 削減し、ソフトウェアの欠陥を 30% 減少させることができる、と弊社では信じています。」
「開発/テスト環境を社内に置くと、組織全体の IT インフラを 50% 消費するにもかかわらず、通常その時間の 90% はアイドル状態なのです。」
彼らは IBM 特有の流儀で、クラウドコンピューティングが最も有用である作業負荷に焦点を当ててきました。彼らの提供するサービスにより、顧客は開発/テストサービスのコストを削減しながら、生産環境における運用に集中できます。

なぜ Linux なのか。
Linux はクラウドのオペレーティングシステムに使用されています。なぜクラウドプロバイダーはみな Linux を使用しているのでしょうか。
• Linux は、このような環境を効率的に実行する強力な並列コンピューティング向けに最適化することができます。IBM は、各Linux カーネルに内蔵されている KVM (Kernel-based Virtual Machine) を使用して彼らのサービスを強化しています。また、完全にオープンソースベースで、技術力とハイレベルなサービスで知られる Red Hat 社と提携しています。
• Linux は非常に優れた電源管理機能を持っています。これはデータセンターの運用コストダウンを目指している IBM、Red Hat、Novell のような企業がエンタープライズ Linux に力を入れているおかげでもあります。また、デバイスで Linux を使用し、高度な電源管理機能を求めるモバイル開発者や組込み開発者による技術革新の恩恵も受けています。
• Linux はオープンで特定のアーキテクチャ向けに最適化されているものではなく、さまざまなハードウェア上で実行でき、ベンダーが膨大なデータファームを構築するコストを削減できます。Linux はオープンであるため、IBM はメインフレーム コンピュータ用に Linux を最適化し、運用的メリットも享受しています。
• 費用の問題があります。もしサーバーごとにレドモンドかどこかに支払いをしなければならないとしたら、データファームを構築したり、CPU時間当たり0.15ドルを支払うことなどできません。Microsoft は MSFT 製品でクラウドビジネスを運用できるかもしれませんが、その他の企業はそんな費用を支払わないでしょう。
• Linux は今日の世界で最適の開発プラットフォームです。IBM は、Linux で開発している企業がほかになければ、Linux ベースの開発/テスト クラウドサービスを提供できなかったでしょう。Linux は最適な開発プラットフォームとして、着実に実績を積み上げてきました。以上のような点が、Linuxがクラウドコンピューティングプラットフォームの最有力候補である所以です。
• オーナーシップの問題があります。私は、Corio というクラウドサービス企業の設立者の 1 人としてこれを 90 年代後期に経験しました。Corio はホステッドエンタープライズアプリケーションを提供していました(当時はこれをクラウド「アプリケーションサービスプロバイダー」と呼んでいました)。私たちは、株式公開の S-1 ファイルにおいて、次のようにリスクを公開するよう要求されました。「弊社は、弊社のサービスを提供するために必要なソフトウェアを供給するソフトウェアベンダーに依存しています。またこのソフトウェアへのアクセス減少、または機能の低下や陳腐化は、弊社の顧客のビジネスに被害を及ぼし、それにより弊社の利益が減少し、弊社のコストが増加する可能性があります。」もしオープンソースソフトウェアでビジネスを展開していたら、私たちは自分たちのソフトウェアを所有し、このリスクは存在しなかったでしょう。つまりこれがクラウドで Linux を使用する最大のメリットではないでしょうか。
もし Google の検索エンジンが .NET サーバーに構築されていたら、今日の Google は存在し得たでしょうか。
サービスベース経済の黎明期には、運用能力不足のために失敗した企業があふれていました。
その一例が Friendster です。2003 年、Friendster は飛ぶ鳥を落とす勢いでした。Facebook やTwitter や MySpace よりも前に、Friendster はかなりの重要な先行者利益を蓄積していました。しかし残念なことに、この企業はシステム稼動時間内の無数の問題を見過ごしていました (私は初期の利用者だったので覚えています)。彼らは開発や運用の問題点に気づかず、使い勝手は改善されないままでした。ユーザーは、Facebook や Twitter などに流れていき、今では Friendster は見る影もありません。当時は、Friendster のスケーリングを助けるクラウドサービスもありませんでした。おそらく彼らがその開発/テスト作業を IBM に外注し、製品化だけに注力していたなら、Linux Foundation は、約 25000 のメンバー向けに Twitter や Facebook アカウントではなく Friendster のページを宣伝していたかもしれません。
今回の発表は、IBM のクラウド アナウンスメントの第一弾と考えてよいでしょう。将来の革新的なサービスベース企業を作り出すために、どんな Linux ベースのクラウド サービスが用意されているのか楽しみです。

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