Linux 天気予報

Linux 天気予報へようこそ

(原文はこちら)

このページでは、Linux の開発コミュニティで現在進行中の開発をトラッキングしています。これらの開発結果はメインラインカーネルに採用され、近い将来メジャーな Linux ディストリビューションに取り入れられていく可能性の高いものです。この天気予報は LWN.net のエグゼクティブ エディター Jonathan Corbet が担当します。この天気予報をよりよいものにするための提案があれば、ディスカッション ページ (英語) にコメントを送ってください。トラッキングするべきプロジェクトやパッチセットがあれば、そうしたご意見も大歓迎です。この天気予報のおもな変更については、ブログでも報告しています。直接ブログを見ていただくこともできますし、フィード リーダーでブログ フィードを購読していただくこともできます。このページの更新フィードを直接申し込めば、Linux 天気予報の編集内容をすべてお読みいただけます。

天気予報の要約 

現在の状況: カーネル 4.5 が 3 月 13 日にリリースされました。このリリースでマージされた機能は以下のとおりです。

  • dm-verity サブシステムにおけるフォワード エラー コレクション (Forward Error Correction (FEC): 前方誤り訂正)
    ブロックの破損が発生してもストレージ デバイスのデータをリカバリできます。
     
  • ファイル強制ロック機能 (mandatory locking) は必須ではなくなり、オプションとなる 
    最終的にこの機能は完全になくなりそうです。
     
  • 新しいシステム コール: copy_file_range() 
    アプリケーションがファイルの一定領域のデータを他のファイルにコピーすることを要求できるようになり、ストレージ システムがファイル コピー操作を最適化することが可能となります。
     
  • 特権ユーザーがオープンな状態のネットワーク接続を強制的にシャットダウンできるようになる 
    この機能は、モバイル機器が WiFi からブロードバンド接続に切り替えた後に接続を再確立する場合などに、特に有用です。
     
  • 不揮発性メモリ デバイスで直接入出力と DMA をサポート  
    このハードウェアに対するカーネルのサポートの中で最後の大きな穴が埋まりました。
     
  • madvise() システム コールによる新しい操作のサポート - MADV_FREE  
    すぐには必要なくシステムが必要ならリクレイムできるメモリを、アプリケーションが指定できます。

例によってこの開発サイクルも、さまざまな新しいドライバー、重要な修正、内部的な機能強化などがマージされています。最終的に 12,080 件の修正がこの開発サイクルでメインラインに入りました。コード開発者の詳細についてはこちらの記事を参照してください。

短期予報:  4.6 カーネルは 5 月 15 日頃になるでしょう。このリリースでマージされる機能は以下のとおりです。

  • Post-init リードオンリー メモリー 
    カーネルに追加された新しいセキュリティ強化メカニズム。カーネルを乗っ取られにくくするための新たな取り組みの第一弾。
     
  • Memory protection key 
    Intel CPU の機能で、プログラムがメモリを複数のゾーンに分割し、ゾーンごとにアクセス制限を適用できるようになります。これもカーネルのセキュリティ強化メカニズムであり、たとえばこれを使うことで、センシティブなデータ (暗号鍵など) が使用されていない時に読み取られないようにできます。4.6 では下位機能の実装を行い、その後、実行専用メモリにこの機能を使います。関連のシステム コール群は 4.7 でマージされるでしょう。
     
  • 新しいシステム コールである preadv2() と pwritev2()
    "flags" という引数を加えることで、I/O 処理に関する高度な制御を可能とします。最初の利用事例として、高優先度処理を示すフラグを追加することで、可能であればパフォーマンス向上のためにポーリング メカニズムを使用することを示します。
     
  • kernel connection multiplexer 
    パフォーマンスにもセキュリティにも優れたネットワーク プロトコルをカーネルに実装できるようになります。
     
  • コンパイル時のスタック バリデーション
    おもにカーネル開発者の関心事ですが、何か問題が発生した時に、カーネルが生成したスタック トレースバックの正確さを保証するので、すべてのユーザーに恩恵があるでしょう。カーネル実行中に複雑なパッチを適用できるライブパッチ機能のフル実装に必要な前提条件でもあります。
     
  • OrangeFS 分散ファイルシステム 
    検討と改良を重ねた末にマージされました。
 
4.6 のマージ ウィンドウでは、12,172 件の変更がメインラインに反映されました。これは 4.5 の開発サイクル全体よりも多い数字で、実際に Linux カーネル プロジェクトの歴史の中で最も忙しいマージ ウィンドウになります。このペースで行くと、4.6 カーネルは過去最高の多忙な開発サイクルになります。
 

長期予報  

天気と同じで、これから Linux カーネルに何がマージされるか確定はできませんが、すべての変更は、メリットと長期メンテナンス コストの両面から評価されます。ただし、以下の項目には注目してもよいでしょう。

Kdbus
カーネルにおける D-Bus プロセス間通信メカニズムの実装です。この作業は開発コミュニティにおいて難航し、現在再設計中です。しかし Kdbus は最終的に何らかの形でカーネルに入ることになるでしょう。
 
Btrfs ファイルシステム
商用的利用ができる状態になるまでに予想以上の時間がかかっているようですが、徐々に近づいてはいます。RAID5 / RAID6 のサポートのような重要な機能がマージされ、バグが潰されているところです。メジャー ディストリビューションの少なくとも 1 つは、2014 年にデフォルトで Btrfs を採用するでしょう。

control group
カーネルがプロセスを階層グループに分類できるようするためのメカニズムで、それらのグループにポリシーやリソースの使用制限を適用することができます。この機能は重点的に開発中で、来年には大幅な変更が行われるでしょう。この分野で進行中の問題については、こちらの記事を参照してください。

省電力スケジューリング
マルチコアのシステムでは (昨今では携帯電話もマルチコアですが)、使っていないときに CPU をシャットダウンすることにより、消費電力をかなり抑えることができます。しかし電力を抑え過ぎることによる弊害も考えられるため、注意が必要です。いくつかのパッチセットが存在しますが、この問題の解決方法についてはまだ大きな意見の相違が見られます。とは言うものの、この領域は 2014 年には大きく進展するでしょう。


過去の Linux 天気予報

2016 年 1 月 26 日
2015 年 12 月 5 日
2015 年 9 月 20 日
2015 年 7 月 20 日
2015 年 4 月 22 日
2015 年 3 月 27 日
2015 年 2 月 27 日
2015 年 1 月 24 日