Linux Weather Forecast

Linux Weather Forecast (天気予報) へようこそ

(原文はこちら)

このページでは、Linux の開発コミュニティーで現在進行中の開発をトラッキングしています。これらの開発結果はメインラインカーネルに採用され、近い将来メジャーな Linux ディストリビューションに取り入れられていく可能性の高いものです。この天気予報は LWN.net のエグゼクティブ エディター Jonathan Corbet が担当します。この天気予報をよりよいものにするための提案があれば、ディスカッション ページ (英語) にコメントを送ってください。トラッキングするべきプロジェクトやパッチセットがあれば、そうしたご意見も大歓迎です。この天気予報のおもな変更については、ブログでも報告しています。直接ブログを見ていただくこともできますし、フィード リーダーでブログ フィードを購読していただくこともできます。

天気予報の要約 

現在の状況: カーネル 3.9 が 2013 年 4 月 28 日にリリースされました。この版のおもな機能は以下のとおりです。

  • ARM Cortex-A15 プロセッサで KVM による仮想化をサポート。
     
  • ワイヤレス ネットワーク サブシステムに動的周波数選択 (Dynamic Frequency Selection: DFS) サポートを追加。
    高周波ネットワークが航空交通管制レーダーと安全に共存できます。
     
  • VMware の "VM ソケット" と "仮想マシン通信インタフェース" サブシステムをカーネルのメインラインにマージ。
     
  • ユーザー名前空間のサポートがほぼすべて完了。
    関連して XFS 以外のおもなファイルシステムがすべて更新されました。
     
  • SO_REUSEPORT ネットワーク オプション
    スケーラブルなマルチプロセス ネットワーク サーバーのセットアップが容易になります。
     
  • アイドル サイクルの強制挿入で、Intel の PoweClamp ドライバーによるデータ センター電力消費設定の制御が可能に。
     
  • 新しい "dm-cache" デバイス マッパー ターゲットは、低速ストレージ デバイス向けの高速キャッシュとしてソリッドステート デバイスが使用可能に。
    詳細については、こちらの資料を参照してください。
     
  • Btrfs ファイルシステムが実験的に RAID5 と RAID6 に対応。 

69 日間の 3.9 開発サイクルの中で、約11,900 件の修正分がメインラインに入れられました。これより多忙なカーネル サイクルはありましたが、今回は別の記録を達成しました。1,388 人もの開発者が貢献したカーネルは過去にありません。3.9 カーネルの詳細および主要な貢献者については、こちらの記事を参照してください。
 

短期予報:  3.10 カーネルのリリースは 7 月上旬になるでしょう。3.10 カーネルのおもな機能には、以下のものが含まれるでしょう。

  • 'ftrace' トレース機能の大幅な改善。
    たとえばイベント ストリームを複数のトレース バッファに分解できるようになります。
     
  • メモリ プレッシャー通知メカニズムのマージ。
    空きメモリが少なくなると、ユーザースペース コントローラーが対応できるようになります。
     
  • フル ダイナミック ティック サポートの実現が間近に。
    これは、システム全体で実行中タスクが 1 つのみの時にカーネルが周期的なタイマー割り込みを一時停止できる機能で、現在はおもに超遅延センシティブな高性能計算やリアルタイム アプリケーションにとって興味深い機能です。
     
  • ネットワーク スタック内の "tail loss probing (テール ロス調査)" 。
    これを行うことで、ネットワーク セッションの最後にパケットが消失した際のリカバリが高速化されます。
     
  • XFS ファイルシステムがメタデータのチェックサムに対応。
    ストレージ層でデータが破損する可能性がさらに低下します。
     
  • ARM マルチクラスター パワー マネジメントのマージ。
    これで誰かの生活が変わるわけではありませんが、この機能は ARM の "big.LITTLE" 処理を正式サポートするための重要な要素です。
     
  • bcache キャッシュ層のマージ。
    この層は、ソリッドステート デバイスを大容量の低速ストレージ アレイの高速キャッシュとして機能させることができます。

3.10 のマージ ウィンドウでは、12,000 件近い変更がメインラインに反映されました。これまでで最も多忙なマージ ウィンドウだったので、3.10 カーネルの開発サイクルもとても多忙なものになるでしょう。
 

長期予報

天気と同じで、これから Linux カーネルに何がマージされるかはわかりませんが、すべての変更は、メリットと長期メンテナンス コストの両面から評価されます。ただし、以下の項目には注目してもよいでしょう。

Android カーネル パッチ。Android 関連の変更は、広範囲にわたる議論の的となっていますが、いまだにメインライン カーネルには入れられていません。しかし 2011 Kernel Summit で、このコードを入れるべきだろうということが決定されました。長い伝統が示しているように、積極的に配布/サポート/使用されているコードは、たとえ問題があっても、いつかはマージされるべきです。実際にそうなるまでは何とも言えませんが、このあたりの変更については、3.3 リリースくらいに何らかの動きがあると思われます。

Btrfs ファイルシステムは、積極的に利用されつつあります。Oracle では、企業向けディストリビューションで Btrfs をデフォルト ファイルシステムとして使用する意向があるとしています。LinuxCon Europe でも議論されたように、残っている問題は、機能的なファイルシステム修復ツールと、RAID5/6 サポートのマージです。

リアルタイム プリエンプション (Linux カーネルにおける確定的なレスポンスの提供) は、2004 年からツリー外で開発されています。現在、コアのリアルタイム処理だけをメインラインの外に残して、今後の開発サイクル内にその大量のコードをマージしようとしています。詳細については、10 月 22 日のリアルタイム ミニサミットのレポートをご覧ください。

x32 は、64 ビット アーキテクチャ向けの新しいバイナリ インタフェース標準で、64 ビットのアドレス空間を必要としないアプリケーションにより良いパフォーマンスを提供しようとするものです。実際、ほとんどのアプリケーションは 64 ビットのアドレス空間を必要としていないため、大きなメリットがあるでしょう。取り組むべき問題はまだいくつかありますが、大部分は完了しているので、2012 年中には x32 サポートをマージできるはずです。その他の詳細情報は、こちらの記事をご覧ください。

control group というのは、カーネルがプロセスを階層グループに分類できるようするためのメカニズムで、それらのグループにポリシーやリソースの使用制限を適用することができます。この機能は、カーネル コミュニティでは議論の的となっていましたが、利用が高まっており、これからも高まり続けることは明らかです。この分野では来年以降も、次の 2 つの方向で開発が継続するでしょう。(1) 新しいコントローラーを追加してポリシーをグループに適用する、(2) control group とそのコントローラーの実装を改善してカーネル開発者を安心させる。詳細については、2011 Kernel Summit の control groups の議論を参照してください。
 

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