オープンソース ソフトウェア プロジェクトにおける著作権表示

By 1月 10, 2020 2月 12th, 2020 Blog

「コントリビューターが多くいるOSSプロジェクトのファイルの上部には、どんな著作権表示(Copyright notice)があるべきなのか?」これは、私たちが頻繁に受ける質問です。多くのコミュニティがこの問題について議論し、共有すれば有益となるであろう共通的なアプローチについて一緒になって考えてきました。

ソースコードやドキュメント、その他コンテンツがOSSプロジェクトにコントリビュートされる場合、そのコントリビューションの著作権は、通常、(そのコントリビューションをした)元の著作権保有者たち1に保持されます。

つづいて、OSSプロジェクトにコントリビューションをしている各組織・個人が著作権を保有し、その権利をプロジェクトのオープンソース ソフトウェア ライセンスの下で有効にさせる形をとるOSSプロジェクトについての議論があります。こういったケースでは、これらの著作権はプロジェクトの一部として配布される前提でライセンスされることになります。プロジェクトが開発者証明書(「DCO」:Developer Certificate of Origin)および/またはコントリビューター ライセンス契約(「CLA」:Contributor License Agreement)を使用するかどうかによらず、(コントリビューターである)元の著作権保持者がその著作権を保持します。

著作権通知 ー コミュニティでのベストプラクティス

LFプロジェクトのコミュニティの大半では、すべてのコントリビューターに対しコントリビューション対象のファイルへの著作権表示を求めたり、推奨したりしていません。なぜそうしないのか、具体的に見てみましょう。

そのようなことをする代わりに、多くのLFプロジェクトのコミュニティでは、次のようなフォームでより一般化したステートメントを用いることを推奨しています(以下の「XYZ」はプロジェクト名)。

  • Copyright XYZ 作者一同(Copyright The XYZ Authors)
  • Copyright XYZ コントリビューター一同(Copyright The XYZ Contributors)
  • Copyright XYZプロジェクト コントリビューター一同(Copyright Contributors to the XYZ project)

これらのステートメントは、次のことを伝えることを意図しています。

  • その著作物が著作権で保護されてること
  • コードのコントリビューターはそのコードのライセンスを提供したが、著作権は保持していること
  • そして、そのプロジェクトで配布したコードの一部としてライセンスされたこと

共通的なフォーマットを使用することで、プロジェクトは、作者名、著作権保有者、対象年・対象期間の一覧、および©記号のバリエーションをメンテナンスする必要がなくなります。意図しているのは、開発者やメンテナー、およびコードの再配布者の負担を最小限に抑えることです(特に再配布者については、ライセンス遵守として著作権表示を維持、複製することが求められる場合、これらが負担となります)。

自分の著作権表示を入れたい場合はどうすればよいか?

留意が必要なのは、コントリビューターが自らのコントリビューションに対し自分の著作権表示を維持しようとする場合、それが間違ったことではないということです。先程のフォーマットは使いやすさ(ease of use)のために推奨されていますが、LFプロジェクトのコミュニティでそれを強要するものではありません。

所属企業・組織の名のもとでコントリビューションをしている場合には、著作権者として著作権表示にその所属企業・組織を明記する必要があるかどうか法務部門に相談することをお勧めします。すでにLF参画企業の法務部門の多くで、先程推奨したやり方が承認されています。

プロジェクトのリポジトリにサードパーティからコピーされたコードはどうなるか?

あるファイルが、プロジェクトにコントリビュートしていないサードパーティのソースから生成されたコードだけを含んでいる場合は、そのファイルに前述の表示を追加する必要はありません(同じく、自分が著作権の保有者でないならば著作権者表示も追加しません)。既にある著作権・ライセンス表示をそのまま保持してください。

しかし(サードパーティである)別プロジェクトからやってきた、著作権が保護されうる内容を(プロジェクトにある)既存のファイルの中に追加するといったようなケースでは、追加のタイミングで前述のような著作権表示を追加することができます。

他者の著作権表示を許可なしで変更しないこと

明示的に(書面で)許可されていない限り、他者の著作権表示を変えたりまたは消したりするべきではありません。これは、既存コードのサードパーティによる表示についても同様です。

なぜすべての著作権者を列記しないのか?

LFプロジェクトのコミュニティがコントリビューションに対し、なぜ全著作権者のリストアップをファイルごとに要求・推奨しないのか、これにはいくつか理由があります。

  • 著作権保有者がその権利を維持するために著作権表示は必須ではない
  • ファイルの進化に応じて著作権表示がアップデートされることはめったになく、結果として記載内容の正確さを欠くことになる
  • 表示を更新したりや正確さを欠く内容を修正しても、実質的なメリットもなく開発者の負担を増やすことになる
  • 開発者やメンテナーは、たとえば、タイポの修正のような小さなコントリビューションで新たな著作権表示の追加になるのかどうか、といったことを気にかけたくない
  • 数や種類の多い著作権表示を追加することが、下流の配布者たちにおけるライセンス遵守のプロセスで表示を複製する際に、彼らの負担を増大させる場合がある
  • コントリビューターが、個人、法人含め誰が著作権者かわからなくなってしまうかもしれない。その著作権者はあなたなのか、あなたの会社なのか、はたまた別の組織体なのか

※訳注:全著作権者を列記するというポリシーのプロジェクトにコントリビュートしようとしたとき、たとえばファイルに著作権表示がなかったり、網羅性が不十分だったりとすると、權利保有者全員を探し出す負担をコントリビューターに強いることになります。

1 LFのすべてのプロジェクトでは、それぞれのコントリビューションにおける著作権は、そのコントリビューションについての著作権保有者である、コントリビューションを行った人によって保有されます。LF以外の組織やプロジェクトでは、コントリビューションの譲渡を求める契約を用いることがあります。つまりコントリビューションにおける著作権の保有がプロジェクトをメンテナンスしている組織・機関に移転されることになります。プロジェクトのコントリビューションの条件や仕組み、ポリシーをチェックして、コントリビュートすることの意義を理解するようにしましょう。

(翻訳協力:LF Japan翻訳コミュニティ)

Steve Winslow

Director of Strategic Programs at Linux Foundation
Steve Winslow is Director of Strategic Programs at The Linux Foundation. He runs The Linux Foundation’s license scanning and analysis service, advising projects about licenses identified in their source code and dependencies. Steve is also involved with projects including SPDX, FOSSology and the Community Data License Agreement; manages The Linux Foundation’s trademark program; and assists on other legal matters. Steve has presented on license scanning and trademark matters at The Linux Foundation’s Legal Summit 2017 and Open Compliance Summit 2017. Previously, Steve was Vice President of Technology Law at Intralinks and an associate at Choate, Hall and Stewart in Boston. Steve graduated from Georgetown University Law Center and majored in computer science at Williams College.
Steve Winslow