ソフトウェア定義が進む各業界:
オープンソースによる変革

By 9月 24, 20201月 12th, 2021Blog, Publications

「『イノベーションの民主化』とは何か。筆者はそれを製品やサービスの作り手であるメーカー(製造業者)ではなく、受け手であるユーザー自身の、イノベーションを起こす能力と環境が向上している状態と定義する。ここでのユーザーとは、個人か企業かを問わない。ユーザー中心のイノベーション・プロセスは、何百年も経済活動の中心だったメーカー主体のイノベーション・システムに対して、大きな優位性を持っている。イノベーションを起こせるユーザーは、メーカーに『代理人』(しかもそれは不完全な代理人であることが多い)として行動してもらわなくても、自分の望むものを正確に作ることができ、しかも、個々のユーザーはすべてを独力で開発する必要はなく、他人が開発したものを互いに共有し合い、自由に使うことができる。」
–『民主化するイノベーションの時代』(エリック・フォン・ヒッペル著 サイコム・インターナショナル監訳)より
(原著:Eric von Hippel, Democratizing Innovation)

概要

世界最大級で、最も厳しい規制を受け、複雑で、何世紀にもわたる歴史を持っている産業、たとえば銀行、通信、エネルギー産業などと、急速な発展を遂げ、先端的に革新的で創造的な産業、たとえば映画産業などとの間にはどのような共通点があるでしょう?

どちらもオープンソース ソフトウェアに依存しています。

それは素晴らしい答えであると同時に正しいことでもありますが、それがすべてを物語っているわけではありません。完璧な答えは、これらの業界がオープンソースに依存しているだけでなく、自社の研究開発機構や開発モデルにオープンソースを織り込んでいることです。これらの産業はすべて、オープンソースによるコラボレーションでこそ可能になるイノベーションのスピードに依存しています。

最近のMcKinsey & Co.のレポートが述べているように、業界の上位4分の1の企業にとって「最大の差別化要因」は、「オープンソースの採用」でした。その際に、それらの企業はオープンソースのユーザーから貢献者へと変わりました。レポートのデータによると、上位4分の1の企業はオープンソースを採用することで、イノベーションにおいて、残りの4分の3の企業の3倍の効果を得ているとのことです。

この20年間でThe Linux Foundationの活動対象は、ただひとつのプロジェクトLinuxカーネルから、数百もの異なるプロジェクト コミュニティに拡大しました。The Linux Foundationが展開した「サービスとしての 非営利組織 (Foundation-as-a-Service)」モデルは、クラウド、セキュリティ、ブロックチェーン、Webなど主要な水平的技術ドメインを横断して、オープンソースを使ってコラボレーションを実践するさまざまなコミュニティをサポートしています。

これらのプロジェクト コミュニティの多くは、自動車産業、映画産業、金融業、テレコム、エネルギー産業、公衆衛生などのイニシアチブであり、業界の垂直的なグループを形成しています。そのようなコミュニティは単独の活動として立ち上げられ、The Linux Foundationに中立的な本拠地を求めたものだったのかもしれません。それでも、プロジェクトを支援する組織が他の分野にもコラボレーションを拡大するにつれにつれて、これらのコミュニティは、やがて、コラボレーションが有益だと分かるようになりました。

このホワイトペーパーでは、The Linux Foundationが対応する主要な業界イニシアチブについて詳しく説明します。ここでは、最も注目に値するオープンソース プロジェクトを取り上げ、なぜ100年以上前から存在していたこれらの主要産業の業界が、オープンソース ソフトウェアを使って自らを変革してきたと考えるのかを説明します。

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